こんにちは、映画好きライターの田中です。
ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画の感想や見どころをご紹介。
今回取り上げるのは、2023年公開の『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』です。
2018年、アカデミー長編アニメーション賞を受賞した大作『スパイダーマン スパイダーバース』の待望の続編です。
前作大ファンだった筆者、もちろん映画館に観に行きました。
というわけで今回は、新作映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の見どころや感想について紹介していきたいと思います!
※ネタバレ含みます
目次
概要
ピーター・パーカーの遺志を継ぐ少年、マイルス・モラレスを主人公に新たなスパイダーマンの誕生を描いた、長編アニメーション『スパイダーマン スパイダーバース』(2018)の続編。
時空のゆがみにより別次元で活躍するスパイダーマンたちが集結した。スパイダーマンたちの宿命を知ったマイルスが、運命を変えるため立ち上がる。
ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソンが監督を務めた。
オリジナル英語版は、シャメイク・ムーアが主人公マイルス、ヘイリー・スタインフェルドがグウェンの声を担当。さらに、、『ハッカビーズ』のジェイソン・シュワルツマン、『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザックらが集結。
あらすじ
マルチバースを自由に移動できる世界。マイルス・モラレスは、久々に自分の世界に姿を現したグウェンに導かれ、あるユニバースを訪れる。
そこには、スパイダーマン2099(ミゲル・オハラ)や、ピーター・B・パーカーら、さまざまなユニバースのスパイダーマンたちが集結していた。
「大切な人と世界を同時に救うことができない」というスパイダーマンの運命を突きつけられたマイルスだったが、それでも両方守り抜くことを誓う。しかし、運命を変えようとするマイルスの前に無数のスパイダーマンたちが立ちはだかり、スパイダーマン同士の戦いが始まる…。
『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の感想
まずは、映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』のざっくりした感想をお伝えします。
超人ヒーローたちの等身大な悩み
本作では、前作同様に、スパイダーマンとして活躍するマイルスやグウェンの、等身大の若者ならではの悩みや葛藤が描かれていました。
特に家族との関係性には比重が置かれており、自分がスパイダーマンであることを隠しながら接することに罪悪感や息苦しさを感じているようでした。
マイルスの両親は、進路にも真剣に向き合わず、気づくとどこかに消えている奔放な息子をとても心配しています。
そんな両親に対する負い目のあるマイルスは、自分がスパイダーマンであると打ち明けられたらどれだけ楽だろうと思っているように見えます。
一方のグウェンは、罪悪感に耐えきれず、警察署長である父に自身がスパイダーウーマンであることを打ち明けてしまいます。
超人ヒーロー、スパイダーマンの気持ちなど私たちには理解できないはずなのに、親に対する彼らの素直になれない心情や大切にしたい気持ちはよく分かるような気がするのです。
「スパイダーマン」とはなにか
本作では、「スパイダーマン」とはどんな存在なのか、どうあるべきかという部分が示されました。
スパイダーマンには、必ず「大切な人の死」(カノンイベント)が訪れる。これはスパイダーマンであるなら経験すべきことで、避けては通れないこと。言うなれば、守るべき掟です。
マイルスは、この掟を破り、スパイダーマンの定義を壊そうとします。
マイルスは、もともとスパイダーマンになるはずではなかった存在。そんな異分子的な存在である彼が、強固なスパイダーマンの掟から解放されようと動くというストーリーは、とてもドラマ性があると感じ、ワクワクしました。
用意された悲劇「カノンイベント」
先述した「カノンイベント」について深堀りしていきましょう。
カノンイベントとは、「スパイダーマンが存在するうえで欠かせないイベント」。悪い出来事としては、身内や警察署長の死などです。
たとえば、ピーター・パーカーでいうところの「ベンおじさんの死」です。この出来事がなければ、スパイダーマンは存在していません。
ほかにも、自身の父親である警察署長が死ぬパターンや、警察署長が子供助けたことで犠牲になるケースもあります。
カノンイベントが成立しないと、主に下記のようなことが起こるとされています。
- アースが崩壊
- スパイダーバースが崩壊
- ソサエティが修復し、アースは崩壊しない
劇中では、「アース50101」で警察署長をマイルスが助けたことから、カノンイベントが不成立になりました。しかし、不成立になったからといって必ずしもアースが崩壊するわけではありません。スパイダー・ソサエティが駆け修復したことで、解決するケースもあるようです。
ただ、ミゲルが経験したように、カノン・イベントに抗ったことでアースまるごろ消滅するケースもあります。
『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の見どころ
次に、映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の見どころを深堀りしていきましょう。
スパイダーマン大集結!
本作の大きな見どころは、あらゆる年代、人種のスパイダーマンが大集結するところでしょう。
メインどころのマイルス、グウェン、スパイダーマン2099であるミゲル・オハラ、スパイダーウーマンのジェシカ・ドリュー、ピーター・B・パーカーはもちろん、クールなギタリストのホービー・ブラウン、可愛らしい猫のスパイダー・キャットなど、魅力的なスパイダーマンたちが次々に登場します。
面白いのが、どの次元のスパイダーマンも、ユーモアを忘れていないところ。(ミゲル以外)
どんな局面でもジョークを忘れない精神が多くのスパイダーマンに根付いていることが分かり、「やっぱりスパイダーマンって良いなあ」とほっこりしてしまいました。
最高峰のアニメーション技術
本作の魅力は、なんといっても最高峰のアニメーション技術を堪能できること。
ビビットなカラーとアメコミ風の演出。前作公開後、世界のアニメーション界に大きな影響を与えたスパイダーバースですが、本作は前作をさらに上回ったといわれています。
各バースによりアニメーション表現の仕方や世界観が異なるだけでなく、キャラクターの心情により世界の質感が目まぐるしく変化する演出は、片時も目が離せなかったです。
もちろんストーリーもすごく面白いのですが、この最先端のアニメーション技術を堪能するだけでも、映画館に行くか価値があると思える作品でした。
to be continued
本作のラストでは、三部目に繋がる非常に重要な場面が描かれます。(以下、ネタバレ)
マイルスは警察署長に昇進する自身の父の死(カノンイベント)を起こさせないため、元のユニバースに送還する「ゴー・ホーム・マシン」で元のユニバースに帰ります。しかし、そこは自分のもといたユニバースではありませんでした。
マシンがスキャンしたのは、マイルスを噛んだクモのDNAでした。そのためマイルスは、クモがもといた「アース42」へ飛ばされてしまったのです。
「アース42」は、放射性のクモが謝ってマイルスのユニバースに行ってしまったことで、スパイダーマンが生まれなかった世界です。
そこでマイルスは伯父のアーロンと再会しますが、マイルスはプラウラー(ヴィラン)に捕えられてしまいます。
このユニバースでも、自分のユニバースと同様アーロンがプラウラーになったと思っていたマイルスですが、実はプラウラーになったのは、マイルス・モラレス自身だったのです。
ここで、「to be continued」。次回作へ続くというわけですね。
物凄いところで終わってくれました…。本作で別次元のスパイダーマンたちと戦ったマイルス。三作目では、別次元の自分自身との戦いが待っているわけです。早くも次回作が待ち遠しいですね!
『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が楽しめる人の特徴
映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。
- スパイダーマンシリーズが好き
- アクションものが好き
- 高クオリティのCGアニメーションが観たい
- マルチバースものが好き
- エンタメ映画が好き
- スピーディーな展開の映画が好き
- 友人と楽しく映画を観たい
- エキサイティングな映画体験をしたい
『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が好きな人におすすめの映画
ここでは、映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてご覧ください!
スパイダーマン:スパイダーバース(前作)
異なる次元で活躍していたスパイダーマンたちが、一堂に会するマルチバースダイナミックCGアニメーション。
さまざまな次元のスパイダーマンたちが集まった世界で、ピーター・パーカーの指導により成長する少年、マイルスの姿が描かれる。
日本語吹替版では、中学生マイルス役を小野賢章、ピーター・パーカー役を宮野真守、女性スパイダーマンであるグウェン・ステイシー役を悠木碧が担当した。
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
破産寸前のコインランドリーを経営する主人公エヴリン。頑固な父親と、反抗期の娘、優しいが頼りにならない夫に囲まれ、問題だらけの日々を送っていた。そんな彼女の前に、突然「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫、ウェイモンドが現れる。
混乱するエヴリンにウェイモンドは、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせる。そんな、タフで行動力のある別の宇宙の夫に言われるがまま、マルチバース(並行世界)に飛び込んだエヴリンは、超人的な身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる…。
カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、ごく普通の中年女性がマルチバースを行き来し、世界を救う姿を描いた異色アクション。監督を務めたのは、『スイス・アーミー・マン』の監督コンビのダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)。
ダイナミックにマルチバースを描いた、とんでもSFアクション。取り柄のない地味な主人公が、別の宇宙で成功した自分の力を借り、世界を救うというストーリーです。
マルチバースものが好きな方必見の作品。第95回アカデミー賞で同年度最多の10部門11ノミネート。作品、監督、脚本、主演女優、助演男優、助演女優、編集の7部門を受賞しました。
プロメア
炎を操る突然変異の人種「バーニッシュ」が出現し、未曾有の大惨事「世界大炎上」が起こり、世界の半分が焼失した。それから30年後。一部の攻撃的なバーニッシュが「マッドバーニッシュ」を名乗り、再び世界に危機が訪れようとしていた。対バーニッシュ用高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」の新人隊員ガロと、マッドバーニッシュのリーダー、リオ、信念を持った熱い2人の男がぶつかり合うことになり…。
『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を生み出した今石洋之監督と脚本家の中島かずきがタッグを組んだ、完全オリジナルの劇場アニメーション。
主人公のガロに松山ケンイチ、宿敵リオに早乙女太一、ガロの上司であるクレイに堺雅人と実力派俳優が声を当てた。アニメーション制作は『キルラキル』を手がけたTRIGGER。
スパイダーバースの色彩感覚やテンポ感、CGアニメならではの演出に惹かれた方は、ぜひ観ていただきたい日本アニメ作品です。
まとめ
以上、映画『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』の見どころや感想をご紹介しました。
あらゆる次元のスパイダーマン大集結と、ファンの心を鷲掴みにした本作。映像表現もさらにグレードアップし、観客を飽きさせない演出は見事でした。
さらには衝撃のラスト。次回作が待ち遠しくて仕方ありません。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
舞台はニューヨーク、ブルックリン。頭脳明晰のマイルス・モラレスは、名門私立校に通う中学生。マイルスはスパイダーマンだが、その力を上手くコントロール出来ずにいた。ある日、何者かに時空が歪められる大事故が起こる。 激しい衝撃により、歪められた時空から集められたのは、 異なる次元=ユニバースで活躍する、さまざまなスパイダーマンたちだった…。