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映画『雄獅少年/ライオン少年』と感想と見どころ。ラストシーン、熱狂に次ぐ熱狂。ぜひ映画館で観て欲しい作品【ネタバレあり】

こんにちは、映画好きライターの田中です。

ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめの映画をご紹介。

今回取り上げるのは、2023年5月26日公開の映画『雄獅少年/ライオン少年』(以下、ライオン少年)です。

2023年上半期は、傑作映画がぞろぞろ並んでいて、かなりの豊作だと感じます。この『ライオン少年』もその一つ。どんな状況でも諦めないことの大切さを教えてくれる、最高の王道スポ根エンタメ映画でした。

ということで、今回は『ライオン少年』の見どころや感想をご紹介したいと思います!

※ネタバレ含みます

概要

中国の伝統芸能「獅子舞」の演者を夢見る少年たちの成長譚を描いた、長編CGアニメーション。

日本では2022年に『雄獅少年 少年とそらに舞う獅子』の邦題で字幕版が公開。その後好評を博し、2023年5月、新たに日本語吹き替え版が製作され全国公開に至りました。

監督はソン・ハイポン。「真面目に生きるすべての普通の人たちに捧ぐ1杯の酒にしたい」という想いで2年を費やし製作されました。

日本語吹替版の声優には花江夏樹、桜田ひより、山口勝、落合福嗣、山寺宏一、甲斐田裕子ら豪華キャストが並びます。

あらすじ

広東の田舎で暮らす少年チュンは家が貧しく、出稼ぎ中の両親を待つ日々を過ごしていた。

そんなある日、獅子舞バトルで男を倒した少女から獅子頭を譲りうける。

獅子舞とは、2世紀ごろ魏晋南北朝時代の中国大陸が発祥とされる、中国の伝統舞踊である。現代中国の獅子舞は、前足を担当する1人、背中と後ろ足を担当するもう1人が獅子役となり、そこに楽団も加わり、旧正月や店舗の開店祝いの場などで演じられている。それだけでなく、バトル競技の側面もあり、獅子舞の競技大会も開かれている。

チュンは友人たちを誘い、獅子舞の競技大会への出場を決意する。元エリート獅子舞選手のチアンに弟子入りし、猛特訓に励むチュンたち。しかし、大会直前に出稼ぎ先で大怪我を負った父親が帰郷し……。

『ライオン少年』の感想

まずは、映画『ライオン少年』のざっくりした感想をお伝えしたいと思います。

王道逆転ストーリーが痛快

本作は、逆境から這い上がるストーリー、仲間や師匠との汗滴る特訓、ライバルがなんともいけすかないなど、とても王道的なスポ根展開。しかしあまりにも王道なので、逆に新鮮というか、昨今実はあまり観れないかもしれないと思ったほどでした。

ベタですが、丁寧で作り込まれたストーリーと世界観に、映画でこそ味わえる熱狂を感じることができ、大満足でした。

特に、高い壁に挑戦する気持ち、大きな夢を諦めない純粋な反骨心を思い出すことができたのが良かったです。それは、本作のような、真っ直ぐに突き進む作品だからこそ得られるものなのだと思います。

ちなみに、「獅子舞」について知識がなくても、気にせず鑑賞できます。作中である程度説明があるのと、獅子舞でのバトル競技自体が、そう複雑なルールではないからです。

獅子舞の本当の役割

作中で、チュンが取り組む競技の種目として扱われる「獅子舞」。しかし、この獅子舞の本当の役割、本質とは単なるバトル競技の種目というだけではありません。

獅子舞には、疫病退治や、悪魔祓いの意味合いがあります。それは、人の心のなかの不安や恐れを退けることでもあります。

チュンには、常に厳しい現実や逆境が立ちはだかっています。貧困。格差。両親の不在。町で受ける屈辱的ないじめ…。

苦難を経たとき、「ひ弱な猫」と揶揄されたチュンは「立派な獅子」となり、自身のなかの弱さや恐怖が払拭されるのです。

大都市と田舎町のコントラスト

本作の、「王道スポ根」以外の醍醐味は、大都市広州と、田舎町広東のコントラストでしょう。

主人公チュンは広東の田舎町で暮らしていますが、出稼ぎ先で父が大怪我を負ったため、父の代わりに大都会広州へ出稼ぎに出向きます。

都会での、繁栄したネオンの街並み、忙しない人の流れ、出稼ぎ先での過酷な体験。

貧しいながらも、自由に野原を駆け巡っていたチュンの故郷とは、何もかも違っていました。

中国の格差社会や出稼ぎの実情が描かれていたのも、非常に印象的な点でした。

『ライオン少年』の見どころ

次に、映画『ライオン少年』の見どころを深掘りしていきましょう。

獅子舞の躍動感を際立たせる美麗なCG

まず、ビジュアル面がとにかく最高でした。CGが美しく、獅子舞の躍動感を際立たせていました。

作中、獅子舞に扮した若者たちの姿が幾度となく映し出されます。そのしなやかで力強い動き、華やかさ。驚くほどの完成度でした。

私は実際の獅子舞競技を見たことがありませんが、おそらく実際の競技を見ているときと同様の熱気や興奮を味わえるのではないでしょうか。

一度は映画館の大スクリーンで観て、その美しいCG映像を味わって欲しいです!

主人公の成長ぶり

この作品で見逃せない点は、主人公チュンの成長ぶりです。物語の序盤と終盤では、まるで別人のように変貌しています。

どこか頼りなげだった弱々しい表情は、獅子舞の特訓や出稼ぎでの経験を経て、精悍な顔つきへと変わりました。同様の理由で、折れそうなほど華奢だった身体も逞しくなります。

チュンの広州への出稼ぎは、順調だった獅子舞の特訓に水を差すような出来事でした。しかし、チュンは出稼ぎ先でも、獅子舞の練習を怠ったことはなかったのです。

そして、チュンが故郷を離れて広州で過酷な思いをしたからこそ、揺るぎない強さを手に入れ、再び仲間達のもとへと帰ってこられたのです。

ラストシーンの盛り上がりは随一!

『ライオン少年』で何より味わっていただきたいのは、ラストシーンの熱狂。否、大熱狂。これ以上はないというくらいの、最高の演出で魅せてくれました。

詳しいことは割愛しますが、それまでの主人公の鬱屈、不安、屈辱、恐怖…すべてを跳ね返してくれる、美しい終わり方だったと思います。

皆まで語りません。百聞は一見に如かず。とにかく実際に味わって欲しいです。

映画ファンをこんな気持ちにさせてくれる監督とは、いったいどんな方なんだろうと思って調べたのですが、あまり情報が出てこないんですよね。他作品や経歴なども謎に包まれています。兎にも角にも、これからも作品追っていきたいなと思う監督さんでした。

『ライオン少年』が楽しめる人の特徴

映画『ライオン少年』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。

  • 王道ストーリーが好き
  • 綺麗なCGアニメーションが観たい
  • 主人公が成長する物語が好き
  • 勇気付けられる映画が観たい
  • ポジティブな気分になりたい
  • 映画で熱狂したい
  • 逆境から這い上がる逆転劇が見たい
  • 中国の文化に興味がある
  • 声優の花江夏樹さんが好き

『ライオン少年』が好きな人におすすめの作品

ここでは、映画『ライオン少年』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来

人間により自然が破壊され、妖精たちは居場所を失ってしまう。森に住む黒猫の妖精シャオヘイは、同じ妖精のフーシーに助けられ島へと移るが、島にやって来た執行人の人間・ムゲンにより捕らえられてしまう。フーシーたちがシャオヘイ奪還を試みる間、シャオヘイはムゲンと共に、人間と妖精たちが共生する会館に向かっていた。シャオヘイはその会館で信頼・理解・責任を学んでいき、ムゲンと深い師弟関係を築くことになる。

果たしてシャオヘイは、本当に安心して暮らせる所を見つけられるのだろうか…?

『羅小黒戦記』は、2011年から中国で配信がスタートしたWEBアニメシリーズです。中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版が製作されると、たちまち大ヒット。日本でも同年、字幕版が公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやの間で徐々に評判が広がっていきます。これを受け2020年11月にアニプレックスが共同配給に付き、花澤香菜、宮野真守、櫻井孝宏ら人気声優陣による日本語吹き替え版『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』が全国公開されました。

説明のとおり、『ライオン少年』が豪華声優陣で日本語吹き替えされ、全国公開された流れと似ています。同じ中国アニメ映画ということもあり、楽しめるのではないでしょうか。

BLUE GIANT

仙台に暮らす高校生の宮本大は、ジャズに魅了され、毎日河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京した大は、高校時代の同級生、玉田俊二のアパートに転がり込む。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト、沢辺雪祈と出会った大。大は雪祈をバンドに誘い、大に感化されドラムを始めた玉田も加わり3人組のジャズバンド「JASS」が結成される。楽譜も読めずにただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃からジャズにすべてを捧げてきた雪祈、そしてドラム初心者の玉田は、日本最高のジャズクラブに出演することを目標に、必死に活動を続けていく。

2013年から小学館「ビッグコミック」で連載開始した、石塚真一の人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』をアニメ映画化。

主人公の大の声を、人気俳優の山田裕貴が担当。沢辺雪祈を間宮祥太朗、玉田俊二を岡山天音が演じました。『名探偵コナン ゼロの執行人』の立川譲が監督。原作の担当編集者であり、ストーリーディレクターも務める@NUMBER 8」が脚本を手がけました。『幼女戦記』シリーズのNUTがアニメーション制作を担当しました。さらに世界的ピアニストの上原ひろみが音楽を手がけ、劇中曲の演奏も担当。豪華製作陣で実現した作品です。

若きジャズバンドが、日本最高峰のジャズクラブで演奏するまでを描いた成長譚。熱い展開は『ライオン少年』に負けず劣らず。さらにプロによるジャズ演奏も楽しめます。

がんばれ!ベアーズ

かつてマイナーリーグで野球選手として活躍していたプール清掃員のモリス。彼は市議会から、問題児ばかりの少年野球チーム「ベアーズ」のコーチを依頼される。モリスはチーム強化のために、不良少年のケリー、元恋人の娘アマンダらをチームに招き入れ、ベアーズは快進撃をはじめる…。

1976年に公開されたアメリカ映画で、同作品をもとにした同名のテレビドラマも放映されました。

アメリカ西海岸の町を舞台に、弱小野球チームの奮闘を描いた青春スポーツコメディです。監督は、『白銀のレーサー』などスポーツ映画でお馴染みのマイケル・リッチー監督。

弱小チームの逆転劇といったら、まず挙がるのが本作。古い映画ですが、『ライオン少年』のストーリー展開に惹かれた方は、こちらの作品もご覧になってみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上、映画『ライオン少年』の見どころや感想をご紹介しました。

2023年上半期は『最後まで行く』『ザ・スーパーマリオブラザーズ』『アフターサン』『怪物』など、本当に豊作じゃないですか? いつもより映画館に行く機会も多かったですし、熱狂に次ぐ熱狂の楽しい日々が過ごせて幸せでした。

そのなかでも『ライオン少年』は、『最後まで行く』と同じくらい心揺さぶられた作品でした。

二作の共通点は、分かりやすくスピード感のある展開と、ラストシーンの爽快さだと思います。「終わりよければすべて良し」というのは伊達じゃありませんね。もちろん、終わり以外も良いとこばかりだったのですが。

『ライオン少年』、まだ映画館でやっているみたいなので(2023年6月22日現在)、観ていない方はぜひ観に行って欲しいです!

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!