こんにちは、映画好きライターの田中です。
ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画をご紹介。
今回取り上げるのは、2020年製作の、統合失調症の少年を描いた青春映画『僕と頭の中の落書きたち』です。
可愛く、ポップで、どこか切ない本作。ありのままの自分を受け入れてもらうことの喜びが描かれた青春映画の名作です。
※ネタバレ含みます
目次
概要
2020年に製作された、統合失調症の少年が周囲に支えられながら人生に希望を見いだしていく姿を描いた青春映画作品。
『荒野にて』で注目を集めたチャーリー・プラマーが主演を務め、『エスケープ・ルーム』のテイラー・ラッセル、『オーシャンズ』シリーズのアンディ・ガルシアが共演を果たした。監督は『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海』のトール・フロイデンタール。音楽は監人気デュオ「ザ・チェインスモーカーズ」が務めた。
『僕と頭の中の落書きたち』の配信状況
2023年10月3日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。
サービス名 | 視聴状況 | 初回お試し |
---|---|---|
U-NEXT |
見放題 |
31日間無料 |
Hulu |
見放題 |
無料体験なし |
プライム・ビデオ |
レンタル |
30日間無料 |
Netflix |
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2週間無料 |
DMM TV |
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TELASA |
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あらすじ
高校生のアダムは、たびたび幻覚に悩まされていた。ある日学校で幻覚が現れ、取り乱したアダムは事故を起こしてしまう。その後、病院で統合失調症と診断されたアダムは、母に勧められさまざまな治療を受けるが、症状は良くならなかった。
アダムは事故が原因で学校でいじめを受けるようになり、転校を決意する。転校先でアダムは、病気を隠したまま過ごしていた。次第に彼は、普通の人生を送ることを諦めるようになっていく。そんなある日、アダムは学校で溌剌とした優等生、マヤと知り合い、互いにひかれ合っていく…。
『僕と頭の中の落書きたち』の感想
ざっくりした感想は以下のとおりです。
- ありのままの自分をさらけ出すのは誰だって怖い
- 人は独りでは生きていけない
- 仲良くなるには、勇気を出して自分を開示することも必要
- 欠点のある自分を受け入れてくれた人を大切にしたい
- 支えてくれる家族の優しさや苦悩、深い愛情を感じた
下記で、詳しい感想を述べていきます。
ポップかつリアルに描かれた統合失調症の世界
本作では、患者以外見ることができない統合失調層の世界を、コミカルで分かりやすく描いています。
病気を扱った映画はシリアスで悲しい場面が多く、観るのに勇気がいるという人もいるかと思いますが、この作品は青春映画の側面も強く、重くなりすぎず観ることができます。
それは、主人公のアダムが、幻覚に苦悩しながらもどこか彼らを受け入れ尊重している部分があるからかもしれません。
そして、転校先の学校で出会うマヤの存在も大きいでしょう。彼女は溌剌として強く、病気を抱えたアダムを優しく受け入れてくれます。
ほかにもアダムを支える母親や再婚相手のポールなど、周囲の人間のアダムを理解してくれていることで、彼が孤独にならず、作品自体が暖かい世界観となっているのでしょう。
個性豊かなアダムの幻覚たち
アダムの見る幻覚たちは、皆個性豊か。血の気が多い幻覚には悩まされますが、優しく寄り添ってくれたり、時には助言をくれたりと、必ずしもアダムを苦しめる存在ではありません。
幻覚のすべてが敵ではない、というのは、同じく統合失調症患者を描いた名作『ビューティフル・マインド』でも感じたことです。
アダムが薬の投与で幻覚を見なくなったとき、世界が「静かすぎる」と感じた場面はとても印象的でした。
嵐が去ってほっとした感情もありつつ、どこか寂しげに感じたのです。
騒がしい幻覚たちは、時にアダムを孤独から救い、励ましていたのではないでしょうか。幻覚がアダムの孤独の原因であったにも関わらず、です。なんとも皮肉の効いた話ですが、アダムにとって幻覚は、時に良い友達であったのでしょう。
ありのままの自分をさらけ出す勇気
本作は、統合失調症と関係なく、「ありのままの欠点だらけの自分をさらけ出す勇気」を描いている作品であると感じます。
どんな人にも欠点はあります。そんな自分の欠点を認め、それをオープンに人に打ち明けられる人は、とても強いです。
そして欠点をさらけ出すことで、はじめて自分を本当に大切にしてくれる人に気づくことができるのです。
アダムは、マヤという大切な存在に出会い、葛藤しながらも勇気を出して自分の病気について伝えました。とても怖かったことでしょう。
それでもアダムは自分の病気のことをマヤに打ち明け、マヤはそんなアダムを受け入れてくれました。
大切な人が自分を受け入れてくれたことで、アダムもはじめて自身の病気をしっかり受け入れることができたのではないでしょうか。
『僕と頭の中の落書きたち』が楽しめる人
映画『僕と頭の中の落書きたち』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。
- 統合失調症の症状について知りたい
- 爽やかな青春映画が観たい
- 勇気が出る映画が観たい
- 自分に自信がない
- 自分の欠点を受け入れたい
- ハッピーエンドが好き
『僕と頭の中の落書きたち』が好きな人におすすめの映画
ここでは、映画『僕と頭の中の落書きたち』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてご覧ください!
ビューティフル・マインド
「ナッシュ均衡」などで知られる、ノーベル経済学賞を受賞した、統合失調症患者の数学者ジョン・ナッシュの半生を描いた伝記映画。『アポロ13』のロン・ハワードがメガホンを取り、『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞を受賞したラッセル・クロウが主演を務めた。
2002年、第74回アカデミー賞で8部門にノミネート、作品賞を含む4部門を受賞した。
ナッシュの妻、アリシア役を好演したジェニファー・コネリーがアカデミー助演女優賞を受賞した。
ぼくのエリ 200歳の少女
内気で友達のいない孤独な少年、オスカーは、隣に引っ越してきた不気味な少女、エリに恋をする。しかしエリの正体は、人間の血を吸いながら街を移り住み、200年間生きながらえてきたバンパイアだった…。
永遠に年をとらないバンパイアの少女エリと、孤独な少年オスカーの交流を描いた作品。原作は、ヨン・アイビデ・リンドクビストのベストセラー小説「モールス」。
2008年、トライベッカ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞。
レディバード
舞台はカリフォルニア州、サクラメント。厳格なカトリック系高校に通うクリスティンは、ニューヨークの大学への進学を夢見ていた。自身を「レディ・バード」と称する17歳のクリスティンは、友人や恋人、家族との関係に悩みながら、高校生活最後の1年を過ごす…。
どこか尖っていて冴えない女子高生、クリスティンの最後の高校生活を描いた青春映画。
『フランシス・ハ』『20センチュリー・ウーマン』などで知られる女優グレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもあるサクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込んで描いた青春映画。『フランシス・ハ』や『ハンナだけど、生きていく!』などで脚本も手がけ、『Nights and Weekends』(日本未公開)では共同監督を務めたグレタガーウィグが、初の単独監督作としてメガホンを取った作品。
まとめ
以上、映画『僕と頭の中の落書きたち』の感想や見どころをご紹介しました。
統合失調症の少年が主人公の映画ということで、「重いのかな」「シリアスかも」と身構える人もいるかもしれせんが、作品自体はポップで、ありのままの自分を受け入れてもらうことの喜びを描いたド直球な青春映画です。
誰にだって欠点はあります。それを隠して人に好きになってもらうより、欠点をさらけ出しても一緒にいてくれる人を大切にしていけたら良いですよね。そんなことを感じさせてくれる、とっても暖かい作品です。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
1947年、ジョン・ナッシュはプリンストン大学院の数学科に入学する。
ナッシュは周囲から変人扱いされながらも、自身の研究に没頭する。やがて画期的な「ゲーム理論」を発見したナッシュは、功績を認められマサチューセッツ工科大学の研究所に採用される。順風満帆な日々を過ごすナッシュだったが、ある日国防省の諜報員を名乗るパーチャーから、ソ連の暗号解読という極秘任務を受けることになる。
ナッシュはそのプレッシャーにより、次第に精神のバランスを崩していき…。