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【ネタバレあり】映画『チワワちゃん』はここが面白い!見どころや魅力を解説

こんにちは、映画監督志望の田中です。

毎日映画を観ている私が、好きな映画の魅力をお伝えします。

今回ご紹介するのは、『チワワちゃん』。内容含めて刺激的で、視覚的にも記憶に残る作品です。

概要

『ヘルタースケルター』『リバーズ・エッジ』など、1980~90年代にかけ数多くの人気作品を生み出した漫画家岡崎京子が94年に発表した『チワワちゃん』の実写映画作品。

時代はSNSが普及した現代の東京、吉田志織、門脇麦、成田凌、寛一郎、玉城ティナ、村上虹郎らが演じる若者たちの青春を描いた群像劇。監督は、自主映画『SLUM-POLIS』などで注目され、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』で商業デビューした新鋭、二宮健。

あらすじ

ある日、東京湾バラバラ殺人事件の被害者の身元が判明する。千脇良子、20歳、護学校生。彼女はある若者グループのマスコット的存在で、皆から「チワワ」と呼ばれていた。

チワワの元恋人や親友など、残された仲間たちは、それぞれチワワとの思い出を語り出す。しかしそこで明らかになったのは、誰もチワワの本名や境遇を知らないまま、毎日バカ騒ぎをしていたという事実だった。

感想

まずはざっくりとした映画の感想から述べていきます。

青春とは空っぽであることである

この作品は、若者達の青春群像劇の側面が強いです。現代の若者の青春を描いた作品ですが、結局最終的に彼らに残ったものは虚無感に近いものだけ・・・という終わり方になっています。

青春時代に一緒にいた人たちの顔さえ思い出せないという人もいるでしょう。

あれだけ濃密な日々を一緒に過ごしていたように見えて、実はお互いのことを何も知らなかった。グループ内のカップル同士が別れたり、些細なことがきっかけで疎遠になってしまう・・・。

そういった、誰もが身に覚えのある「青春は空っぽ」の痛々しさを美しく体現しているのが本作だと思います。

表面的なコミュニケーションが気持ち良い

華やかな登場人物たちのなかでも、一際輝きを放つのが「チワワちゃん」です。

彼女は主人公、ミキたちの若者グループに突然現れ、吉田くんの新しい彼女として紹介されます。明るく天真爛漫な彼女は、すぐに皆の人気者として受け入れられるようになります。

そんな魅力的なキャラクターとして描かれるチワワちゃんですが、愛着障害を持ったような一面もあり、徐々に弱い部分を見えてきます。吉田くんと別れてから生活は荒れていき、付き合う男性もころころ変わります。仲間の家を転々として生活をしたりと、住む場所も安定しません。

そんなチワワちゃんの危うさを、皆なんとなく気付いていて、見てみぬふりをしていたのかもしれません。なぜなら、他人の心の中に踏み込むのは怖いことだからです。表面的なコミニュケーションだけ取っていれば楽だし気持ちが良い。内面を知りすぎると「楽しい」だけでは済まされなくなる。

それはチワワちゃんが死んでからも変わらず、最後にチワワちゃんについて仲間達が語るシーンでも、皆一様に薄っぺらいことしか伝えられないのです。

チワワちゃんとの付き合い方そのものが、現代の若者の寂しさや人付き合いへの障害を垣間見えるのも、この作品の面白い点でしょう。

煌びやかな世界と虚無感のギャップ

この作品の中毒性は、煌びやかな世界と現実の虚無感のギャップ、落差でしょう。

舞台は東京、クラブで集まる若者たちが登場人物です。キャラクターは皆煌びやかで華があり、スタイリッシュ。クラブで踊ったり豪遊する姿はまるで無敵、といった感じです。

そんな彼らも、現実が見えていないわけではない。クラブでの煌びやかな世界と、希薄な人間関係のギャップに虚無感を覚えることも。

チワワちゃんはその最たる人物ではないでしょうか。

煌びやかで楽しい時間と、段々と仲間たちと疎遠になってしまう現実の溝を埋めるため、毎晩夜遊びを続けるチワワちゃん。

そういうった面が描かれるからこそ、ただ単に華やかな若者たちが青春を謳歌する話で終わらない魅力があるといえるのではないでしょうか。

見どころ

次に、この映画必見の見どころをご紹介していきます。ぜひ『チワワちゃん』を観ようと思っている人はチェックしてみてください!

チワワちゃんの魅力を引き出す吉田志織さん

個人的に、チワワちゃん役の吉田志織さんの演技が素晴らしかったです。天真爛漫なチワワちゃんの魅力を最大限に引き出していました。

何より素敵なのがはじけるような笑顔。最終的に彼女に降り注ぐ事件を知りながらその笑顔を見ていると、なんとも切ない気持ちになります。

クラブに出入りし、恋人もころころ変わっていく派手な生活を送るチワワちゃんでしたが、ふと見せる表情は純粋無垢の少女のようで、そのアンバランスさが妙に痛々しく、切なかったです。

さまざまな映画の中でも、チワワちゃんはふとした瞬間に思い出してしまう印象的なキャラクターです。

豪遊シーンのド派手さ

作中ではひょんなことからミキたちのグループが大金を手にし、豪遊するシーンがあります。分かりやすいの作品の見どころといえば、まさにこの豪遊シーンでしょう。

たった三日で600万を使い果たしてしまう彼らの弾けっぷりはどこか悪い夢を見ているようでもあり、魅惑的です。

作品全体に漂う刹那的な青春が、このシーンに凝縮されているように感じました。

チワワちゃんの表情に注目

この豪遊シーンでは、時折、登場人物、特にチワワちゃんが何を考えているか分からない表情をしているときがあります。

楽しいんだか、退屈なんだか、寂しいんだか分からないといった表情。チワワちゃんはもしかしたら、この時すでに仲間たちと疎遠になってしまう未来が分かっていたのかもしれません。

そしてそんな絶妙なチワワちゃんの表情を写真に残していたナガイくんもまた、そんな未来を予感していたのかもしれません。

このように、側から見るとただはしゃいでいるだけのように見える若者の心のうちを考えながら観ていくのも面白いと思います。

スピード感のある場面転換

『チワワちゃん』の魅力は、とにかくスピード感のあるストーリー展開と、視覚的に飽きない映像表現。

ストーリーの構成は、チワワちゃんの死後、仲間の一人であったミキがそれぞれの友人にチワワちゃんの印象を回想織りまぜながら聞いていくという流れになっています。

まるでジェットコースターのようにスピーディな流れでシーンが展開していき、目まぐるしい場面転換も劇薬のようで飽きません。

会話劇が中心だったり静かに進んでいく映画より、シーン展開が早い映画の方が好きという方には特におすすめの映画です。ぜひジェットコースターに乗った感覚でお楽しみください!

『チワワちゃん』が好きな人におすすめの映画

この章では、『チワワちゃん』が好きな人に刺さること間違いなしの映画をご紹介していきます。

リバーズ・エッジ

若草ハルナは、彼氏の観音崎が苛める山田を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われる。そこで放置された「死体」を目にすることになる。「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナだったが、さらに宝物として死体を共有しているという後輩でモデルのこずえが現れ、3人は恋愛には発展しない奇妙な友情関係で結ばれていく。

ゲイであることを隠して街で売春をする山田、山田に愛情を募らせるカンナ、暴力衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐いてしまうこずえ、観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人、ルミ。閉鎖的な「学校」という空間の淀んだ日常の中で、それぞれの登場人物が爆発寸前の「何か」を膨らませていた。彼らの愛憎や孤独に巻き込まれながらも強くあろうとするハルナ。しかし彼女もまた、何者にも執着が持てない虚無感を抱えていた。そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを山田から受ける……。

おすすめポイント

この作品は、『チワワちゃん』と同様に岡崎京子原作作品であることや、若者の虚無感を描いている点が類似ポイントです。

高校が舞台ということもあり、『チワワちゃん』よりもさらに閉鎖的ね鬱屈とした空気が漂っていますが、その心許なさが学生時代の青春の刹那を表現しており、面白い作品です。

主人公のハルナが、『チワワちゃん』のミキのように、周囲の人間を客観的に見ているニュートラルな存在として配置されているのも構図として分かりやすく、おすすめポイントです。ぜひご覧ください!

THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ

主人公のオリアアキは、29歳の無名女優。毎夜、小さなサーカス団でマジシャンの助手をするアキだったが、30歳を目の前にして仕事への熱も生きる目標もない。繰り返されるのは、催眠術にかかる演技。やがてアキの精神は摩耗していき、いつしか現実と妄想の境界が曖昧になってしまう。唯一アキのなかで美しい思い出として残るのは、恋人・カイトとの大切な時間だったが……。

おすすめポイント

この作品は、『チワワちゃん』と同様二宮健監督作品という点で、『チワワちゃん』にハマった人はぜひ観ていただきたい作品です。『チワワちゃん』同様のスピード感のあるシーン展開は健在で、さらに虚実入り混じったストーリーは視聴者を錯乱の世界へと導きます。

美しい映像を楽しみたい方にも、◎!

きみの鳥はうたえる

函館郊外の書店で働く「僕」は、失業中の静雄と小さなアパートで共同生活を送る。ある日「僕」は、同じ書店で働く佐知子とふとしたきっかけで関係を持つことになる。彼女は店長の島田とも抜き差しならない関係にあるようだったが、その日から毎晩のように静雄と暮らすアパートへ遊びに来るようになる。こうして、「僕」、佐知子、静雄の気ままな生活が始まった…。

夏の間、3 人は毎晩のように酒を飲み、クラブへ出かけ、ビリヤードに興じる。「僕」は佐知子と恋人同士のように振る舞いながらも、お互いを束縛しようとはせず、静雄とふたりで出かけることも勧めた。そんなひと夏が終わろうとしている頃、3人でキャンプに行くことを提案する静雄。しかし「僕」はその誘いを断り、キャンプには静雄と佐知子の2人で行くことに。次第に気持ちが近づいていく静雄と佐知子。函館でじっと暑さに耐える「僕」。3 人の幸福な日々も終わりの気配を見せていた……。

おすすめポイント

この作品では、若者の気ままな日々、そしてその終わりが描かれています。刹那的な若者達の青春という点で、『チワワちゃん』に通づるものがあるといえるでしょう。

さらにこの作品では三角関係のような人間関係が描かれており、見ていてハラハラします。あえて静雄と佐知子、2人で出かけることを勧める「僕」もまた、青春が期限付きであることに気づいていたのかもしれません……。

まとめ

以上、映画『チワワちゃん』の魅力や見どころをお伝えしました。

『チワワちゃん』はド派手なクラブシーンやスピード感のあるシーン転換に目が行きがちですが、個人的な魅力は、煌びやかな世界観と現実の空虚さのギャップや、希薄な人間関係の儚さなどにあると思います。

チワワちゃんたちのような派手な青春でなくても、誰にだって仲間と過ごした青春時代があるはずです。でも、あれだけ仲が良かった仲間達と、大人になってからもずっと一緒にいるかと言われればそうではありません。

そう、常に青春は刹那的であり、だからこそ儚くも美しい思い出として刻まれるのです。『チワワちゃん』はそういった忘れかけていた空っぽな青春を思い出させてくれる作品だと思います!