こんにちは、映画監督志望の田中です!
毎日映画を観ている私が、おすすめの映画の見どころか感想をお伝えします。
本日紹介するのは、2020年公開の映画『リメンバー・ミー』です。
ピクサー映画のなかでもとびきりカラフルで、音楽性も優れた本作。『トイストーリー3』を手がけたリー・アンクリッチが監督しています。ホロリとくる展開と温かみのあるラストシーン。家族や親族を大切に思える映画です。
※ネタバレ含みます
目次
概要
1年に1度、他界した家族と再会できるメキシコの祝祭をテーマにした、ディズニー・ピクサーによる長編アニメーション映画作品。
ひょんなことから死者の国に足を踏み入れた少年ミゲルが、ユーモアと感動の冒険を繰り広げる。監督・製作には『トイ・ストーリー3』を手がけたリー・アンクリッチ監督と、製作担当のダーラ・K・アンダーソンが再集結。テーマパークのようにカラフルな死者の国の描写、陽気な音楽、祖先や家族を尊ぶストーリーに引き込まれること間違いなし。
物語のキーポイントとなる劇中歌「リメンバー・ミー」の作詞作曲を『アナと雪の女王』の「レット・イット・ゴー ありのままで」でお馴染みのクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスが担当しました。
第90回アカデミー賞で長編アニメーション賞および主題歌賞受賞。
あらすじ
過去のある出来事が原因となり、家族に音楽を固く禁止されている少年、ミゲル。ある日ミゲルは、先祖が家族に会いにくる「死者の日」に開催される音楽コンテストに出場することを決める。ミゲルは伝説的なミュージシャンであるデラクルスの霊廟に飾られたギターを手にするが、それを弾いた瞬間ミゲルは突然死者の国に迷い込んでしまう。もとの世界に戻れず困っているミゲルのもとに、ヘクターという謎めいたガイコツが現れる……。
感想
まずは、映画『リメンバー・ミー』の大まかな感想をお伝えします。
ポジティブに描かれる死後の世界と音楽
この作品は、日本でいうと「お盆」の風習にあたるメキシコの祝祭「死者の日」をテーマに、音楽を禁じられた少年ミゲルの冒険譚です。ミゲルと家族・親族の強い絆を、多くの謎と陽気な音楽を散りばめながら描いています。
ただ、この作品では死後を怖いものとして描いていません。ご先祖様をお迎えする祭壇を飾り、陽気に祝うイメージです。
作品では、ミゲルの家族のなかで音楽がなぜこんなに嫌われているのか、という導入から始まり、その後とあるきっかけでミゲルが死者の世界に招待されてしまいます。死者の世界では、死者たちが骸骨の姿で現れます。骸骨といっても、生前の面影が残っており、表情も豊かでどこか愛らしい。そのため、「怖い」という印象はありません。
むしろ、骸骨たちはミゲルを積極的に手助けしてくれたり、音楽で楽しませてくれたりします。
これまで想像していた「死」や「死後の世界」を覆すような、ポジティブな世界観で描かれる死後の世界。それは音楽の存在も大きく影響していると感じました。
現代では薄れつつある親族との繋がり
本作はお伝えしているとおり、「家族」「親族」との繋がりがテーマです。家族への愛情や敬愛にフォーカスしており、観賞後には家族の大切さを改めて実感できる内容になっています。
現代では、親族との繋がりは徐々に薄くなっているように思われます。この作品では、先祖までを含めた家族愛を表現しています。そして、先祖を思い出し感謝する死者の日が題材になっており、親族との繋がりについて考えるきっかけになるような内容が多く含まれています。
ご先祖様があってこそ自分がいるという、当たり前ではあるものの忘れがちな事実に気づかせてくれる作品です。
「2度目の死」の深い意味
この作品では、「2度目の死」という概念が描かれています。
それは、肉体の「死」と、生きている者に忘れさられることによる存在の「死」。本作の題材となっている「死者の日」は、家族や大切な人が亡くなってしまっても、思い続けることでその人と繋がっていられるという意味がある大切な祝祭です。
日本でも同じ意味合いで「お盆」があります。しかし、お盆は休みというイメージが先行し、先祖について考えることはあまり多くないのではないでしょうか。
観賞後は、自分のご先祖様が2度目の死を迎えないよう、思い続けていたいと思うようになりました。
見どころ
次に、『リメンバー・ミー』の見どころを深掘りしていきましょう。
明るく前向きな死者の世界
作品では、死者の世界を明るく前向きに表現しています。オレンジを基調にしたカラフルな映像と陽気な音楽。想像していた死者の世界とは違い、ポジティブな印象を受けます。
現世と死後の世界を繋ぐオレンジの花びらの架け橋もとても美しく、恐怖感はいっさいありません。
死者の世界で暮らしている骸骨たちも、愛らしく、「死者」とは思えないほど生き生きとしています。
このように、死者の世界や死の概念をカラフルでポップに表現している点がこの作品ならではの魅力であり、大きな見どころだと感じます。
抑制され続けたミゲルが歌う晴れ舞台
主人公ミゲルは、ミュージシャンを夢見る少年です。しかしとある事情から、音楽を固く禁止された家族に猛反対されています。
そんなミゲルが、死者の世界のステージで解放されたように音楽を奏で歌を歌うシーンは大きな見どころといえるでしょう。
吹き替え版でミゲルの声を担当したのは、石橋陽彩さん。本作で声優デビューとなりました。
声優だけでなく歌手活動も行っている彼の透き通る歌声は必聴です。
感動のラストシーン
月並みですが、見どころとして「感動のラストシーン」を挙げさせてください。
ミゲルと、彼のひいおばあちゃんにあたる「ママ・ココ」が一緒に歌を歌います。
とにかく『リメンバー・ミー』はラストシーンが素晴らしいです。視聴者の期待を裏切らない最後の展開は、何度観ても心にくるものがあります。
ちなみに、『リメンバー・ミー』の現代は、『Coco』。歳を重ね記憶が曖昧になってしまったママ・ココは、唯一ミゲルの先祖、ヘクターの記憶を持っている人物。つまり現世と死者の世界を結ぶキーパーソンだったわけですね。原題の意味が考えながらラストシーンを観ると、感動もひとしおです。
『リメンバー・ミー』が楽しめる人の特徴
映画『リメンバー・ミー』が楽しめる人の主な特徴は、以下のとおりです。
- 家族愛をテーマにした映画が好き
- ミュージカル映画が好き
- 映像美を堪能したい
- カラフルな色彩の映画が好き
- ハッピーエンドの映画が観たい
- ディズニー・ピクサーの映画が好き
- CGアニメーションが好き
- 泣ける映画が観たい
- 家族や友人と映画が観たい
- 家族と喧嘩している、疎遠になっている
『リメンバー・ミー』が好きな人におすすめの映画
ここでは、映画『リメンバー・ミー』が好きな人におすすめの映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください。
ソウルフルワールド
舞台はニューヨーク。主人公はジャズミュージシャンを夢見る音楽教師のジョー。しかしジョーは、夢が叶う前にマンホールに落下してしまう。
彼が迷い込んだ場所は、死後の世界−−ではなく、魂が地上に生まれつく前に「どんな自分になるか」決める世界だった。ジョーがソウルフルワールドで出会ったのは、やりたいことを見つけられず、「人間に生まれたくない」と長い間留まっている「22 番」と呼ばれる魂だった。 大きな夢のため、地上での人生を取り戻したいジョーは、22番に協力を求めるが…。
おすすめポイント
『リメンバー・ミー』は、人間の死後の世界を題材にしていました。対してこちらの作品は、生まれる前の魂の世界を描いています。どちらも相反するようで、つながっているように感じます。死後の世界も、魂の世界も、現世に存在していない人物が、現世に思いを馳せています。そして、「生きること」を考えさせる内容になっています。
皮肉にも、魂のまま留まっている「22番」は、生まれていないにも関わらず、すでに生きることの大変さや煩わしさに絶望しています。そして夢のために人間として再び地上で生きていきたいジョーに対し、「生まれたくない」と主張します。
「生きること」への意味を見失っている人にぜひ観ていきただきたい作品です。
2分の1の魔法
はるか昔、世界は魔法に満ちていました。近し時の流れと科学技術の進歩により魔法は忘れ去られてしまいました。 主人公のイアンは、自分が生まれる前に亡くなった父に「一度だけで良いから会いたい」と願う少年。イアンは、何をやっても上手くいかず、自分に自信が持てないでいます。しかし、イアンには隠れた才能がありました。それがそう−−「魔法」。
イアンの兄、バーリーは弟と正反対の陽気な性格の持ち主。イアンとバーリーは「お父さんに会いたい」という願いを叶えるべく、父を完全に蘇らせる魔法を探す旅に出る。しかし、とある事情から彼らに残された時間はたったの24時間しかなかった…。
おすすめポイント
この作品も、残された家族が、死者に思い馳せる作品です。『リメンバー・ミー』と同様に家族をテーマにしており、家族の強い絆がストーリーを進めていきます。
本作では、特に兄と弟の兄弟の絆が印象的です。正反対の兄と弟ですが、「父に会いたい」という気持ちは共通している。弟のイアンは、父と過ごした記憶のある兄に嫉妬に近い感情があります。いっぽう兄は、強く憧れている魔法を使うことができません。しかし、魔法の才能がある弟を嫉妬する描写は描かれず、常に弟を支える役割に徹しています。そんな兄を鬱陶しく思いつつも、やはりかけがえのない存在だと実感する弟。やはり「家族って良いな」と思わせてくれる作品です。
家族の大切さを実感したい人は、ぜひ『リメンバー・ミー」と併せてこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。
タレンタイム
この作品は、2009年に他界したマレーシアの監督ヤスミン・アフマドの遺作となった長編映画です。
音楽コンクール「タレンタイム」(才能の時間)が開催されるとある高校で、ピアノの上手な女学生ムルーは、耳の聞こえない少年マヘシュと恋に落ちる。また、二胡を操る優等生カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手い転入生のハフィズを嫌っていた。
音楽コンクールに挑戦する生徒たちのささやかな青春を描きながらも、民族・宗教の違いによる葛藤を抱えた人びとの様子を通し、多民族国家マレーシア社会を映し出します。
おすすめポイント
この作品は上2作と異なり、実写映画です。おすすめに挙げた理由は、宗教や民族の違いによる葛藤と、それを超越していく存在として「音楽」が希望的に描かれていたからです。
『リメンバー・ミー』でも、音楽キーポイントとして描かれます。現世でミゲルの家族に嫌煙されていた音楽は、親族間の軋轢を解消する希望でもありました。
本作でも、多民族国家マレーシアにおいて、音楽は「救い」として非常に希望的に、健気に描かれます。特に、不仲であったマレーシア人のハフィズと中国人のカーホウが音楽を通じて和解するシーンは、理屈を超えた美しさがあります。
アニメーション作品ではないですが、ぜひ『リメンバー・ミー』が好きな人に観ていただきたい作品です。
まとめ
以上、映画『リメンバー・ミー』の見どころや感想をご紹介しました。
ストーリーは分かりやすくストレートで、死後の世界を丁寧に説明しつつ、ポジティブに描いている。しかし作品の根底には、大人にこそ響く強いメッセージ性がある。
その点では、大人も子供も、老若男女が楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっていると感じます。
親子でも、兄弟でも、家族皆で観ても楽しめる良作。ぜひチェックしてみてください!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!