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夏なので『海辺のポーリーヌ』の感想を語る

こんにちは、映画好きライターの田中です。

ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画をご紹介。

本日取り上げるのは、ひと夏の恋愛模様を描いたエリック・ロメールの『海辺のポーリーヌ』です。

夏らしい映画と聞かれると必ず挙がる本作。ぜひノルマンディー海岸へのバカンス気分で楽しんで観てください。

※ネタバレ含みます

概要

エリック・ロメール監督による「喜劇と格言劇」シリーズの第3作。海辺の別荘で6人の男女が織り成す恋愛模様を、思春期の少女ポーリーヌの目を通して描く。

ベルリン国際映画祭で銀熊賞と国際批評家連盟賞を受賞した。

『海辺のポーリーヌ』の配信状況

2023年8月9日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。

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プライム・ビデオ 丸

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あらすじ

15歳の少女ポーリーヌは、年の離れた従姉マリオンと一緒にノルマンディの別荘へバカンスにやって来る。海辺へ出かけた2人は、マリオンの元恋人ピエールと出会う。ピエールは現在もマリオンへの思いを引きずっていたが、マリオンはピエールの知人であるプレイボーイのアンリに恋をしてしまう。一方、ポーリーヌは海辺でウィンドサーフィンをしていた少年シルバンと親しくなるが……。

『海辺のポーリーヌ』の感想

映画『海辺のポーリーヌ』の感想をお伝えしていきます。

少女ポーリーヌと美貌のマリオン、ひと夏の思い出

マリオンは離婚後、従妹のポーリーヌを連れて、ノルマンディー海岸で夏の終わりを過ごすことになります。

静かな環境で仕事や読書に集中したいマリオンでしたが、ポーリーヌは海辺での出会いを期待していました。

ポーリーヌにせがまれ海に繰り出すマリオンでしたが、そこでマリオンの元恋人、ピエールに出会います。

そこへ、ピエールの知人男性、アンリが現れます。

マリオンを引きずるピエール。ピエールの気持ちを知りながら曖昧な態度をとるマリオン。女好きの自由人、アンリ。

そんな大人たちに振り回されながらも、密やかな海の出会いを楽しむポーリーヌ

四者四様の夏を過ごすわけですね。

それぞれの愛についての会話劇

マリオン、ポーリーヌ、ピエール、アンリの4人は、アンリの家で食事をしながらそれぞれの恋愛観について語り合います。

そこには、その人なりの愛の美学がありました。

アンリは、オセアニア在住の民俗学者で、幼い娘をバカンスに連れてきています。アンリもマリオン同様離婚歴があり、娘の親権は前妻にあるようです。

土地は所有しているものの、一カ所に留まることができず、女性関係も身軽な自由さを求めているアンリは、縛られることが苦手なようです。

反してマリオンは、燃え上がる愛を求めています。

マリオンへの未練があるピエールは、燃え上がる愛より、時間をかけた愛こそ本物だと述べます。

それぞれ自由に恋愛観を語り合うなか、少女ポーリーヌはじっと黙って聞いていました。

恋愛観の違うマリオンとアンリでしたが、一夜を共にし、マリオンはアンリに夢中になります。しかしアンリはライトな遊びの関係を望み、マリオンを苦しめます。

自由なアンリの生き方

さまざまな人物の恋愛観が明かされる本作ですが、印象的なのはアンリの生き方です。アンリは、互いに執着のない自由を求めます。

彼が離婚をした原因も、このような発言から少なからず憶測できるでしょう。

作中、アンリは美貌のマリオンと深い仲になる傍ら、海で出会った売り子とも遊ぶようになります。

そんなアンリを好きになってしまったマリオンは苦しみますが、アンリは自分の生き方を変える気はないようです。

アンリは、ポーリーヌに「どうして美人のマリオンがいるのに浮気をするのか」と聞かれ、こう答えます。

「女性は皆それぞれ美しい」

これには感嘆すら覚えてしまいました。アンリは正真正銘、稀代の色男なのでしょう。

そしてそんな、自分を特別しないアンリだからこそ、マリオンは惹かれたのかもしれません。

『海辺のポーリーヌ』が楽しめる人の特徴

映画『海辺のポーリーヌ』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。

  • 夏らしい映画を観たい
  • 海が舞台の映画が好き
  • 恋愛映画が好き
  • 会話劇を楽しみたい
  • フランス映画が好き
  • 映像美を楽しみたい
  • アートな映画が好き
  • 男女の群像劇が好き

『海辺のポーリーヌ』が好きな人のおすすめの映画

ここでは、映画『海辺のポーリーヌ』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてご覧ください。

友達の恋人

市役所で働く内気な女性ブランシュは、ある日女子学生のレアと出会い、意気投合し友だちになる。レアには恋人のファビアンがいるが、2人の関係は上手くいっていないようだった。

一方ブランシュは、ファビアンの友人であるアレクサンドルに恋心を抱く。しかし恋に臆病なブランシュは、自分の気持ちを言い出せないままであった。

そんななか、ファビアンとブランシュの仲が急接近。二人は互いに惹かれるようになり……。

男女の恋愛模様を軽快な会話劇で描くフランスの映画監督、エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズの第6作。パリ郊外のセルジー=ボントワーズを舞台に、4人の若い男女の複雑な恋愛模様を軽妙に描く。

カラフルな80年代のファッションにも注目。

美しき結婚

妻子ある画家と不倫関係にあった美学生のサビーヌ。そんな未来のない関係に嫌気が差したサビーヌは、ある日突然、「誰かと結婚しよう」と思い立ち画家と別れる。

好きな仕事をしながら医者の夫と暮らす親友、クラリスを理想とするサビーヌは、クラリスから弁護士のエドモンを紹介される。

早速エドモンを結婚相手と決めつけたクラリスは、積極的にアプローチを仕掛ける。しかし、多忙なエドモンとすれ違いが続き…。

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」の第2作目。

当時としては珍しくフジカラーが使われており、独特の色彩効果を出している。また、録音では、通常のブーム・マイクに加え新式のワイヤレスマイクが駆使された。

フランス・シネマ大賞受賞。

こちらは、男女の恋愛模様をより痛々しいタッチで描いた作品。主人公サビーヌの猪突猛進ぶりに目を覆いたくなる反面、最後まで顛末を見届けたい好奇心も刺激される名作です。

満月の夜

パリ郊外のアパートで建築家の恋人、レミと暮らすインテリアデザイナーのルイーズ。

自由奔放なルイーズと生真面目なレミは、喧嘩が絶えず、レミはルイーズの外出を良しとしなかった。

レミに縛られた生活に息苦しさを感じたルイーズは、密かにパリで部屋を借り、妻子持ちの親友オクターブと遊び歩くようになる……。

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズの第4作目。

2人の男、そして2つの家の間で揺れ動く女性の心理を繊細に描く。

主人公、ルイーズを演じたパスカル・オジェは、本作でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞。その直後に25歳の若さで急逝。

まとめ

以上、映画『海辺のポーリーヌ』の感想をお伝えしました。

毎年夏になると思い出す、『海辺のポーリーヌ』。

開放的なバカンスの景色だけでなく、愛に振り回される愛すべき人物達の行く末も楽しむことができる夏の名作。凛とした少女ポーリーヌの真っ直ぐさは、いつまでも色褪せない輝きがあります。

ぜひ毎年観ていきたい作品です。

最後までお読みいただきありがとうござました!