こんにちは、映画好きライターの田中です。
ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画の感想や見どころをご紹介。
本日紹介するのは、巨匠ウェス・アンダーソン氏の代表作の一つ『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』です。
※ネタバレ含みます
目次
概要
崩壊した天才ファミリーの再生物語をユニークに描き、ウェス・アンダーソン監督が世界的に注目を集めるきかっけとなった異色コメディ。
『メリーに首ったけ』のベン・スティラー、『リプリー』のグウィネス・パルトロウ、『キューティ・ブロンド』のルーク・ウィルソンが3兄妹を演じ、両親役を名優ジーン・ハックマンとアンジェリカ・ヒューストンが務めた。作中のナレーションは、アレック・ボールドウィンが担当した。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の配信状況
2023年10月24日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。
サービス名 | 視聴状況 | 初回お試し |
---|---|---|
DMM TV |
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あらすじ
ニューヨークで暮らす、テネンバウム家の3人の子どもたち。
長男チャスは商才があり、ビジネス界で大稼ぎ。長女マーゴは劇作家として活躍し、次男のリッチーは優秀なテニス選手として成功を収めた。3兄妹は幼くして才能を開花させ、世間からは天才児と持てはやされていた。
しかし、父のロイヤルが家を出たことで一家は離散。子どもたちは、問題を抱えた大人へと成長する。ある日、妻のエセルが恋人から求婚されたことを知ったロイヤルは、彼女に自分の死期が近いことを告げ、一家は22年ぶりに共に暮らすことになる……。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の感想と見どころ
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の感想や見どころをご紹介します。
シュールなのに不思議と温かい家族再生の物語
本作は、家族再生の物語を、ダークコメディタッチに描いた作品です。
父ロイヤルの行いが原因で崩壊した家族が、ことの発端であるロイヤルをきっかけに再び絆を取り戻すという皮肉が面白いところです。
作中ではロイヤルをはじめとするテネンバウム家が好き勝手行動し、なかなか皆ぶっ飛んでいて自分勝手で、見ていてとても疲れます。
しかし、最後まで見ると不思議と温かい気持ちになり、「家族っていいな」と思ってしまいます。
なぜ…
不服です。こんなにはちゃめちゃな家族なのに。あんなに不甲斐ない父親なのに。
そんな、ある種納得いかない気持ちにさせられる、家族映画の名作だと思います。
不器用で憎めない父親像
やはり本作を語るにおいて、父、ロイヤル・テネンバウムを触れずにはいられません。
彼はすべての元凶。家族を崩壊に導いた張本人です。幼少期はデリカシーのない行動が多く、子供たちや妻をさんざん傷つけました。
そして妻がほかの男と結婚しそうになったら、慌てて家族の絆を取り戻そうと嘘までついて縋りつきます。
ああ、なんてどうしようもない父親なのでしょう。
しかし、やはり不思議なウェス・アンダーソンマジック。このロイヤルという男、なぜか憎めない。
ロイヤルは破天荒だけど、きっと人間が好きで、皆と仲良くしたいと思っている。特に家族のことは大好きで、一人ひとりに自分なりの愛を注いでいる。ただ少し、やり方が不器用なだけなんです。
こんなふうにロイヤルの肩を持ってしまうということは、ウェス・アンダーソン氏の術中にかかってしまっているということでしょう。ああ、不服。
でもやっぱり、皆さんも好きですよね? ロイヤル・テネンバウムのことが。
3兄妹+近所に住むイーライの複雑な関係性
ロイヤルのことばかり熱く語りましたが、テネンバウム家の3兄妹もなかなかクセが強い面々です。
チェスは妻を事故で亡くし、父ロイヤルへの愛憎もありひねくれてしまっている。
マーゴはことあるごとにロイ屋に「養子」だと吹聴され、誕生日に発表した渾身の演劇もデリカシーなく否定され、性格が歪んでしまっている。
リッチーはずっと優しいけど、義理の姉であるマーゴに恋をしたことで拗らせてしまい、テニスプレーヤーとしての選手生命まで失ってしまった。
さらにここに、近所に住む幼馴染であり、現在は情緒不安定で麻薬中毒者となったイーライも絡んできて、なかなかややこしいことになっています。
人は皆、どこか自分勝手
これだけ登場人物が多い作品ですから、キャラクター一人ひとりの人間模様が三者三様に描かれているのが面白い点だと感じました。
これは人間関係の縮図と言いますか、結局皆、自分のことしか考えていないように感じる場面が多々ありました。
ロイヤルは家族を取り戻したい。チェスとマーゴはそれぞれ父に対する愛憎入り混じる思いがあり受け入れられない(リッチーはかなり歩み寄っている方だと思いましたが)。妻のエセルは新しい恋人と穏やかな日々を送りたい。
もちろん、ロイヤルのこれまでの行いにより家族が崩壊したことは否めません。しかし、皆どこか相手の気持ちに無頓着というか。自分の周辺のことにしか目を向けられない部分があるように感じました。
その結果、リッチーは終盤で自殺未遂をしてしまったのではないかとも感じます。
私は本作の映像的表現や音楽が大好きなのですが、何度か途中で観るのをやめてしまう理由はこの、優しい人間が損をするような物語展開にあります。大好きなんですけどね…リッチーの不憫さが見ていられない…
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が楽しめる人
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。
- 家族再生物語が好き
- ヒューマンドラマが好き
- ドタバタダークコメディ作品が好き
- おしゃれな作品が好き
- テンポの良い作品が観たい
- 小道具や衣装にこだわった作品が観たい
- 単純なストーリーが好き
※作中では動物が死ぬ場面があります。苦手な方はご注意ください
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が好きな人におすすめの映画
ここでは、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ、併せてご覧ください!
ダージリン急行
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』と同じく、ウェス・アンダーソン監督による3兄弟の再生物語。本編前には三男ジャックの恋を描いた13分の短編『ホテル・シュヴァリエ』が上映され、ナタリー・ポートマンと共演した。
ヘリー・アンド・ザ・ファミリー
生まれた直後に言葉を話し、並外れた記憶力を持つ天才少年のヘンリー。
祖父や母たちと一緒に暮らすヘンリーは、自分が人工授精で生まれたこと、さらに腹違いの姉がいるという衝撃の事実を知ることとなる。
一方、ヘンリーの姉であるオードリーは、父が原因で学校でイジメを受けていた。オードリーと父との関係は最悪であったが、そんななか、ヘンリーと母、オードリーと父が集まることとなり……。
天才少年ヘンリーと、変わり者の家族たちの再生の物語をコメディタッチで描いたヒューマンドラマ。
製作総指揮には、ジュリア・ロバーツが名を連ねる。
トライベッカ映画祭に正式出品作品され、話題を呼んだ作。『リトル・ミス・サンシャイン』のトニ・コレット、『トロン:レガシー』のマイケル・シーンなど、豪華キャストが集結。
クリスマス・ストーリー
クリスマスを祝うため、フランス北部、ルーベのビュイヤール家に家族たちが集まってくる。母ジュノンの病気をきっかけに、疎遠になっていた子どもたちも遠方から駆けつけるが、「役立たずのアンリ」の登場により、一家のクリスマスは台無しになってしまう…。
疎遠だった家族がクリスマスに集まるヒューマンドラマ。監督は『そして、僕は恋をする』『キングス&クイーン』のアルノー・デプレシャン。監督の故郷、フランス北部ルーベを舞台に、母の病気を機にクリスマスに再会を果たした家族の物語。
カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリックら、フランス映画界の名優たちが多数を果たした。
まとめ
以上、映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』の感想や見どころをお伝えしました。
父ロイヤルのように、作品自体も目を覆いたくなるのにどこか憎めなく、画面の華やかさに魅了されどうしても最後まで観てしまいます。
一人っ子の私には、テネンバウム家の3人は一生の憧れの兄妹です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
父の死がきっかけで、疎遠になっていたホイットマン3兄弟。
長男フランシスの呼びかけで、次男ピーター、三男ジャックの3人が久しぶりに揃い、インド横断の列車旅行に出ることに。
しかし、そんな彼らに予想外の出来事が待ち受けていた……。