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【ネタバレあり】エリックロメール『友だちの恋人』の感想と見どころ。ドライな男女の関係性におかしくもぞっとする

こんにちは、映画好きライターの田中です。

ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画をご紹介。

今回取り上げるのは、軽妙なタッチの恋愛模様でお馴染み、エリック・ロメール監督の『友だちの恋人』です。

ロメール作品のなかでも、とりわけ爽やかで後味の良い本作。ロメール入門作品としてもおすすめできる作品なので、ぜひご参考にしてください。

※ネタバレ含みます

概要

男女の恋愛模様を軽快な会話劇で描くフランスの映画監督、エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズの第6作。パリ郊外のセルジー=ボントワーズを舞台に、4人の若い男女の複雑な恋愛模様を軽妙に描く。

カラフルな80年代のファッションにも注目。

『友だちの恋人』の配信状況

2023年7月4日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。

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あらすじ

市役所で働く内気な女性ブランシュは、ある日女子学生のレアと出会い、意気投合し友だちになる。レアには恋人のファビアンがいるが、2人の関係は上手くいっていないようだった。

一方ブランシュは、ファビアンの友人であるアレクサンドルに恋心を抱く。しかし恋に臆病なブランシュは、自分の気持ちを言い出せないままであった。

そんななか、ファビアンとブランシュの仲が急接近。二人は互いに惹かれるようになり……。

『友だちの恋人』の感想

まずは、映画『友だちの恋人』のざっくりした感想をお伝えします。

…と、その前に、本作は男女の関係性が複雑に描かれているので、分かりやすいように人物図を示しておきますね。

ブランシュ…主人公の女性。アレクサンドルに恋する

レア…ブランシュの友人。ファビアンと交際中

ファビアン…レアと交際中

アレクサンドル…プレイボーイで彼女持ち

恋に臆病なブランシュと奔放なレアのクールな関係性

2人の女性、ブランシュとレアが、対照的な存在として描かれているのが印象的でした。

本作の主人公、ブランシュは恋に臆病で奥手な女性。プレイボーイで有名なアレクサンドルに恋心を抱きますが、なかなか自分から声をかけることができません。

一方レアは、恋に積極的で奔放な性格をしており、消極的なブランシュを見かねてアレクサンドルとの交流の場をお膳立てする場面も。

そんな対照的な二人ですが、不思議と仲はよく、会話は弾みます。

最終的にブランシュとレアは、お互いの相手(アレクサンドルはブランシュの片思いでしたが)を取り替えることになるのですが、それでも仲が壊れることはなく、「あっそう。よかったね」とサラリとしたものです。

これには、驚きです。この時代のフランスの女の子たちは、こんなにあっけらかんとしたものだったのでしょうか。

何ともクールな関係性で、少し憧れちゃいました。

「友だちの恋人」との罪悪感のない恋愛

本作は、主人公ブランシュが、友人レアの恋人、ファビアンと恋に落ちるという話。

タイトルからして、背徳感のある内容を想像しましたが、良い意味で裏切られました。

まず、レアとファビアンは破局寸前。ちょうど関係がうまくいっていないタイミングだったので、友達を裏切っている罪悪感は多少はあれど、そこまで深刻に考える必要はない状況といえるでしょう。

ブランシュとファビアンの湖畔でのデートは非常に爽やかで、お互い自然体でいられる様子。それは、恋に傷ついた二人だからなのでしょうか。こんなに空気感が合うなら、もう付き合っちゃえば良いのに! と思わず背中を押したくなる雰囲気でした。

ハラハラした展開も見応えがありますが、本作のようなカラッとした恋愛模様もどこかほっとして癒されます。

ラストは爽快な大団円

なんといっても、ラストの収束ぶりには拍手喝采。

ブランシュは、ファビアンと待ち合わせたカフェで、偶然レアに出会います。実はレアも、そのカフェでアレクサンドルと待ち合わせをしていたのです。

しかしブランシュは、ファビアンが結局レアを選んだと勘違いし、一時取り乱します。そこに、ファビアンとアレクサンドルが現れ、ブランシュは状況を理解。一同にっこりというラストです。

男女の比較的ドロドロした恋模様を滑稽に描くことの多いロメール作品ですが、登場人物が全員笑って終わるラストは珍しいのではないでしょうか。

コントのオチのように丸く収まるラストシーンは、面白おかしく、爽快。しかしある意味ドライな男女の関係性に、どこかぞっとする部分もあるという、見事な着地の仕方でした。

『友だちの恋人』の見どころ

次に、映画『友だちの恋人』の見どころを深堀りしていきたいと思います。

パリ郊外の街並みとファッション

本作の舞台は、パリ郊外のセルジー=ボントワーズ。

スタイリッシュな建造物や、どこか作り物めいた街並み。そこで暮らす主人公たちの、カラフルで個性的なファッション。テニスコートの白いベンチを彩る、観客たちのパステルカラーの洋服。

そのどれもに目が奪われます。

ロメール作品全般にいえるように、この作品も、フランスの街並みや当時のファッションの魅力存分に表現されています。

会話劇が中心にも関わらず、まったく退屈せずに観続けられるのも、こうした画づくりのうまさにあるのかもしれません。

とにかく画面がおしゃれ! これぞロメール!

コミカルでドライな会話劇

ロメール作品の醍醐味といえば、会話劇。本作も、登場人物たちの軽妙なカフェトークが楽しめます。

特にブランシュとレアの延々と続くガールズトーク(今でいう「恋バナ」的なことでしょう)は、対照的な二人だからこそ盛り上がり、聞いていて飽きません。

喫茶店で、隣の客の会話を盗み聞きするようなわくわく感を味わえることでしょう。

そしてこのブランシュとレアの会話は、コミカルでありながらもどこかドライなんですよね。前述したように、ブランシュがレアの恋人を略奪した形になったにも関わらず「まあ、いいんじゃない」なんてノリなので驚きます。

このドライさは、ブランシュもレアも、他人に対しどこか諦めた気持ちがあるからなのかもしれません。

ブランシュの住む宮殿風住宅

主人公、ブランシュの住む宮殿風集合住宅にも注目です。

公務員のブランシュが住んでいるのは、リカルド・ボフィル設計の古代宮殿風集合住宅「ベルヴェデーレ聖クリストフ」です。

ここはなんともだだっ広く殺風景で、どこか寂しい印象を受けます。ある意味無機質さのあるセルジーの街並みと、よく合っているといえるのかもしれません。

殺風景なのはブランシュの部屋の中も同じで、あまり物がありません。ミニマリストなのでしょうか。

こんな広い集合住宅の、何もない部屋に住んでいたら、心もすさんでいきそうだと思いました。

しかし、やっぱりスタイリッシュでおしゃれなんですよね…。

筆者も憧れて、無機質な部屋に住んだことがあります。しかし、やはり心が荒んでいったので、スタイリッシュさを生活に取り入れるときは慎重にならないといけませんね。

『友だちの恋人』が楽しめる人の特徴

映画『友だちの恋人』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。

  • 会話劇が好き
  • 恋愛映画が好き
  • コミカルな恋模様が好き
  • おしゃれな街並みやファッションを楽しみたい
  • 綺麗な女の子の映画が観たい
  • 友達の恋人を好きになってしまった
  • 後味の良い恋愛ものが観たい

『友だちの恋人』が好きな人におすすめの映画

ここでは、映画『友だちの恋人』が好きな人におすすめの映画をご紹介します。ぜひ併せてご覧ください!

海辺のポーリーヌ

少女ポーリーヌは、年の離れた美貌の従姉マリオンとノルマンディの別荘へバカンスにやって来た。

海辺へ出かけた2人は、マリオンの元恋人であるピエールに出会う。ピエールは、現在もマリオンへ未練を残していたが、マリオンはピエールの知人であるアンリに恋をする。

一方ポーリーヌは、海辺でサーフィンをしていた少年、シルバンと親しくなるが……。

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズ第3作目。海辺の別荘で男女が織り成す恋愛模様を、思春期の少女ポーリーヌの目を通して描く。

ベルリン国際映画祭にて銀熊賞、国際批評家連盟賞受賞した。

『友だちの恋人』は、「喜劇と格言劇」シリーズの第6作目にあたります。雰囲気に惹かれたら、ぜひ全シリーズ網羅してみてはいかがでしょうか。

こちらも、さらに不毛な男女の会話劇を存分に楽しむことができます。曲者アンリはなかなか面白いキャラクターです。

美しき結婚

妻子ある画家と不倫関係にあった美学生のサビーヌ。そんな未来のない関係に嫌気が差したサビーヌは、ある日突然、「誰かと結婚しよう」と思い立ち画家と別れる。

好きな仕事をしながら医者の夫と暮らす親友、クラリスを理想とするサビーヌは、クラリスから弁護士のエドモンを紹介される。

早速エドモンを結婚相手と決めつけたクラリスは、積極的にアプローチを仕掛ける。しかし、多忙なエドモンとすれ違いが続き…。

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」の第2作目。

当時としては珍しくフジカラーが使われており、独特の色彩効果を出している。また、録音では、通常のブーム・マイクに加え新式のワイヤレスマイクが駆使された。

フランス・シネマ大賞受賞。

こちらは、男女の恋愛模様をより痛々しいタッチで描いた作品。主人公サビーヌの猪突猛進ぶりに目を覆いたくなる反面、最後まで顛末を見届けたい好奇心も刺激される名作です。

満月の夜

パリ郊外のアパートで建築家の恋人、レミと暮らすインテリアデザイナーのルイーズ。

自由奔放なルイーズと生真面目なレミは、喧嘩が絶えず、レミはルイーズの外出を良しとしなかった。

レミに縛られた生活に息苦しさを感じたルイーズは、密かにパリで部屋を借り、妻子持ちの親友オクターブと遊び歩くようになる……。

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズの第4作目。

2人の男、そして2つの家の間で揺れ動く女性の心理を繊細に描く。

主人公、ルイーズを演じたパスカル・オジェは、本作でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞。その直後に25歳の若さで急逝。

ロメール作品のなかでも、特に奔放でチャーミングな女性を描いた作『満月の夜』。主人公ルイーズの住む部屋は、とてもスタイリッシュでおしゃれ。『友だちの恋人』で、ロメールの映す建築物に魅力を感じた方は、ぜひこちらの作品もチェックしてみてください。

まとめ

以上、映画『友だちの恋人』の感想や見どころをご紹介しました。

ロメール作品の大ファンですが、そのなかでも万人に薦めやすいのが本作。終始会話が小気味良く、展開も分かりやすいうえに、(一応)ハッピーエンド。非常にポップな作品なのではないでしょうか。

そして本作が面白かったら、ぜひほかのロメール作品も観てみてください。まずは「喜劇と格言劇」シリーズを網羅するのが分かりやすいかもしれません。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!