こんにちは、映画好きライターの田中です。
ほぼ毎日映画を観ている私が、おすすめしたい映画をご紹介。
今回取り上げるのは、2022年公開映画、『そんなの気にしない』です。
※ネタバレ含みます
目次
概要
エマニュエル・マールとジュリー・ルクストルの監督コンビによる、長編映画監督デビュー作。
『アデル、ブルーは熱い色』(2013)、『ファイブ・デビルズ』(2022)のアデル・エグザルコプロスが主人公のカサンドラを演じる。セザール賞(2023)で主演女優賞にノミネートされた。
『そんなの気にしない』の配信状況
2023年7月14日現在、以下の動画配信サービスで視聴できます。
サービス名 | 視聴状況 | 初回お試し |
---|---|---|
U-NEXT |
見放題 |
31日間無料 |
プライム・ビデオ |
見放題 |
30日間無料 |
Hulu |
配信なし |
無料体験なし |
Netflix |
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ABEMA |
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2週間無料 |
DMM TV |
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30日間無料 |
TELASA |
配信なし |
2週間無料 |
あらすじ
格安航空会社の客室乗務員をしている26歳のカサンドラは、マッチングアプリ「Tinder」のユーザーネーム「Carpe Diem(今を生きる)」に忠実に生きていた。
フライトからフライトへ、パーティーからパーティーへ。しがらみのない自由な生活を謳歌していたカサンドラだが、仕事中のある災難がきっかけで、自分のキャリアを見つめ直すことになる。彼女は故郷に帰り、心の奥にしまいこんだ痛みと向き合い始める…。
映画『そんなの気にしない』の感想と見どころ
まずは、映画『そんなの気にしない』の感想と見どころを述べていきます。
CAカサンドラの満たされなさ
憧れの職業、客室乗務員になったカサンドラは、フライトの合間にパーティーやクラブを楽しみ、人びとが羨むような華やかな暮らしを手に入れているように見えます。
しかし、常にカサンドラは現状に満たされていないように見えます。
カサンドラの抱える空洞のようなものは、CAとしての派手な生活では埋められることができないようです。
そのため、カサンドラの生活を映す本作は、常に虚無感が漂っています。
遠目から見ていると現状に満足していそうな人でも、近くで見てみると本人にしか分からない悩みや抱えているものがある。というのを実感する作品でした。
普段は見られないものを見る
前述したように、本作は一見華々しく見えるCAカサンドラの、内に秘めた満たされなさが描かれています。
しかしこの作品に心を掴まれた理由は、何も憧れのCAの裏の部分が見られるからではありません。
どこにでもいる、なんとなく楽しそうな、屈託のなさそうな一人の女性の、誰にも見せない内側をフォーカスしているからなのではないでしょうか。
現実にも、悩みがなくいつも楽しそうな人がいるでしょう。しかしそういう人でも、実は多くの苦悩を抱えていたり、退屈を感じていたりするものです。
現実世界では、よほど距離をつめなくては、人の内側を知ることはできませんし、仮に近づけたとしても、おそらくすべてを知ることは叶わないでしょう。
そんな、一人の人物の裏側を深く知れるのが、「映画」なんです。改めて素晴らしいツールですよね。
CAの日常を淡々と切り取る
本作の別の側面として、客室乗務員という仕事の現実が映し出されています。
多くの人が思い描く客室乗務員とは、美しい制服を着て世界を旅できる、華やかな仕事。
しかし現実は、もっと退屈だったり、面倒くさかったりするものです。当たり前ですが、楽な仕事というのはありません。羨望を集める仕事こそ、実は地道な業務の積み重ねで成り立っているというのはよくある話です。
カサンドラも例外ではなく、CAとしての過酷な現実にぶち当たります。
このまま何の責任もなく仕事をしていたかったカサンドラですが、会社側は更なるスキルアップを求めます。現場監督のような役割を任せようとするわけですが、今よりずっと責任を伴う仕事となり、カサンドラは躊躇してしまいます。
このあたりの話は、すごくリアルな仕事の現実が描かれていますよね。
大切な人が死んでも、人は生きていかなくてはならない
本作で主人公のカサンドラは、過去の出来事に背を向け、CAとなり世界と飛び回るわけですが。物語中盤で、カサンドラの過去が明かされます。
カサンドラが満たされずどこか心ここにあらずだったわけは、母の死だったわけです。
カサンドラは長い間、母の死をどこか現実として受け入れることができていないようでした。それでも側から見ればカサンドラは、パーティーやクラブ通いを繰り返し、楽しそうに生活しているように見えます。
でも、「生きていく」とはそういうことなのかもしれません。
大切な人がいなくなったからといって、常に悲しみに暮れながら生きるなんてことなんてできないわけです。
毎日泣いて叫んで、故人のことだけを考えていられたらどれだけ良いのでしょうか。しかし、そうはいきません。
どこかで折り合いを付け、自分なりの人生の楽しさを見つけ、淡々と毎日を過ごしていかなくてはいけない。
それはとても重苦しい事実ですが、ある種の希望でもある。人は、大切な人を失ったとしても、どこまでも生きていけるのです。
アデルの魅力が炸裂
そろそろ主人公カサンドラを演じた、アデル・エグザルコプロスのことを語るとしましょう。
私は、アデルの演技が大好きです。
最初にアデルを知ったのは、『アデル、ブルーは熱い色』(2013)でした。ここまで、自意識を感じさせない演技をする女優さんは初めてで、一瞬で心を掴まれました。
本作でも、アデルの自然体な魅力が炸裂していたと思います。
こういうドキュメントチックなリアル路線の作品は、自然体なアデルの良さが最大限生かされるように感じました。
ただぼーっとつっ立ってるだけでも画になるアデル。最高…。
『そんなの気にしない』が楽しめる人の特徴
映画『そんなの気にしない』が楽しめる人の主な特徴は、下記のとおりです。
- 空港や飛行機が好きな人
- キャビンアテンダントに憧れている
- 淡々とした映画が好きな人
- リアルな人間の生き方や暮らしに興味がある
- アデル・エグザルコプロスが好き
- 最近家族に会えていない
- 仕事に疲れている
- 人生を見つめ直したい
『そんなの気にしない』が好きな人におすすめの映画
ここでは、映画『そんなの気にしない』が好きな人におすすめしたい映画をご紹介します。ぜひ併せてチェックしてみてください!
アデル、ブルーは熱い色
2013年・第66回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。フランスの人気コミックを原作に、「身をかわして」「クスクス粒の秘密」などで注目を集めたフランスの新たな才能アブデラティフ・ケシシュ監督が、青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆な性愛描写とともに描いた。
カンヌ映画祭では、審査員長を務めたスティーブン・スピルバーグの計らいによって、ケシシュ監督とともに、エマ役のレア・セドゥとアデル役のアデル・エグザルコプロスに対してもパルムドールが授与され、カンヌ史上初めて俳優がパルムドールを手にした。
フランシス・ハ
ニューヨークのブルックリンで、親友ソフィーとルームシェアをしながら楽しい毎日を過ごしていた27歳の見習いモダンダンサー、フランシス。
しかし、なかなかダンサーとして芽が出ず、彼氏とも別れ、ソフィーとの同居も解消となってしまう。フランシス・ハ自分の居場所を探し、ニューヨーク中を転々とすることに。
周りの友人たちが次々と身を固めていき落ち着いていき、焦りを感じたフランシスは、少しずつ自分の人生を見つめ直していく…。
監督は、アカデミー脚本賞にノミネートされた監督作『イカとクジラ』のほか、『ライフ・アクアティック』『ファンタスティック Mr. Fox』などのウェス・アンダーソン作品の脚本にも参加しているノア・バームバック。ニューヨークを舞台に、モダンダンサーを目指す主人公フランシスのうだつの上がらない毎日を、彼女を取り巻く奇妙な友人関係含めいきいきと描いたドラマ。
主題歌はデビッド・ボウイの「モダンラブ」。『ローマでアモーレ』などに出演した女優、映画監督のグレタ・ガーウィグが主演・共同脚本を務めた。
緑の光線
主人公は、秘書として働くデルフィーヌ。彼女はギリシャでのバカンスを楽しみにしていたが、一緒に行くはずだった友人にドタキャンされてしまう。
その後、友人に誘われて南仏へ出かけたものの、繊細なデルフィーヌ周囲と馴染むことができず、結局ひとりでパリに戻ることに。その後、ビアリッツの海を訪れたデルフィーヌは、ジュール・ベルヌの小説に書かれた、日没前に一瞬だけ見える「緑の光線」の話を耳にする…。
エリック・ロメール監督「喜劇と格言劇」シリーズの第5作。愛と幸せを求めてバカンスに出かけた孤独な女性、デルフィーヌの旅をリアルな会話と美しい映像で描き、ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた。
主演は『飛行士の妻』『恋の秋』のマリー・リビエール。
まとめ
以上、映画『そんなの気にしない』の感想や見どころをご紹介しました。
『アデル、ブルーは熱い色』でアデルの魅力に取り憑かれ、他の出演作も観てみたいと思い本作を知ったあなた…大正解。
本作も、自然体でぽかんと開いた口が可愛いアデルを堪能できます。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき……。